終戦--病気で入院していたため、全滅した分隊中ひとり生き残った西山民次は、戦友十二名の遺書を抱いて日本へ帰還した。家族は原爆で死亡。身よりのなくなった民次は、東京で知りあった、同じ担ぎ屋仲間で夜は躯を売っている、花子という女と同棲した。ところがある日女が失踪した。彼女は、民次が探していた戦友島方の妻静代で、身を恥じて逃げ出したのだ。翌年、民次が友人辰一と始めた、進駐軍残飯のごった煮屋は大繁昌。辰一は、板前である民次を頼りにするが、民次はそれより遺書配達に、熱中するのだった。最初に訪ねた鹿児島の西野入国臣は元内務大臣の戦犯として巣鴨から出所したばかりで、息子国夫の手紙に「戦争で若者が死に、老人が生き残ることは許せぬ。お父さんを憎む。」とあるのを見て嗚咽する。戦友上辻の姉美喜は、弟と約束した待合せ場所の博多駅から、恋人を失っても離れようとはしなかった。松本分隊長の父友清は、息子二人が戦死したことを涙ながらに民次に告げるのだった。小樽の戦友西賀の妻紀子は東京空襲で発狂しており、遺書を見てもなんの反応も見せなかった。市原兵長の弟礼の場合は最も悲惨だった。引きとってくれた家での虐待を怒り一家を惨…
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